2008年 11月 11日
国旗と舞踏会 |
昨日ラジオで独立記念日の国旗掲揚に関する匿名の通行人たちの短いインタビューを聞いた。2、3人が自分の愛国主義を宣言し、毎年必ず家の外に国旗を掲げると言っていた。だが俺はこの地区でそうした機会にそうした旗を一度も見たことがない。そのかわりサッカーのワールドカップやヨーロッパ選手権でポーランド代表の試合があるときには多くの旗が掲げてある。我々の愛国主義とはそんなものだ。熱狂的サッカー・ファンにおいては、深い思考が脳の表面を、さながら愛するボールの表面のように滑ってしまうのである。
11月11日に国旗掲揚すると刑罰を科された共産主義政権時代にはこの旗がもっとたくさん掲げられていた。かりに現在これに関して何らかの困難があっったら、例えば旗や紅白の生地が買えなくて盗むしかないとかいうことになったら、旗は窓1つおきごとに掲げられていただろう。ポーランド人は禁じられた果実が好きだし、法律をすり抜けるのが好きだ。
かつてはそもそも国家の公式祝賀以外には国旗を掲げてはいけなかった。なぜならそれには何らかの反体制の匂いがしたからだ。いまはたぶんそういう禁止事項はないが、金曜日にも祝日にもどこにも国旗は見えない。アメリカ人は何かとしょっちゅう自国の国旗を自宅の前庭に掲げ、みずからの愛国主義を恥じない。ポーランド人の中にはあとどれくらいの間、共産主義の負担とトラウマが残り続けるのだろうか?
今日はポーランド大統領官邸で、ひと月前から予告されていた大舞踏会が催される。世界中から多くの要人が出席することになっていた。アメリカ大統領、ロシア大統領、ヨーロッパ各国首脳、その他大勢。現実はいささか違っていた。舞踏会は舞踏会ではなく、単なる宴会だった。その宴会(舞踏会の要素あり)に現れたのは、なかんずくバルト諸国、ウクライナ、グルジア、セルビア、ハンガリー、スロヴァキア、スロヴェニア、アフガニスタン、マケドニアの大統領と、他の数十か国の、より低い地位の代表たちだった。アメリカとロシアについては言及すらされない。
カチョル [カチンスキ大統領] はドイツ首相、アンゲラ・メルケルの約束通りの来訪を自慢したが、実際に彼女が参加するのは無名戦士記念碑前での式典だけだそうだ。カチョルはメルケル女史と踊ることはない。かりにこの我が国のコンプレックスだらけの大統領がレフ・ヴァウェンサ [ワレサ] を招待していたら、きっともっと重要なお客さんたちがやってきて、何もかもが違っていたことだろう。
だが彼はみずからの怨恨を示さなくては気がすまず、無論ヴァウェンサを招待することはなかった。これは俺に言わせれば、重大な誤りであり、スキャンダルである。なにしろヴァウェンサがいなかったら、今日いかなる宴会も舞踏会もありえなかったのだし、彼のおかげで今日、自由なポーランドで、カチョルのような連中が陽気に騒ぐことができるのではないか。
11月11日に国旗掲揚すると刑罰を科された共産主義政権時代にはこの旗がもっとたくさん掲げられていた。かりに現在これに関して何らかの困難があっったら、例えば旗や紅白の生地が買えなくて盗むしかないとかいうことになったら、旗は窓1つおきごとに掲げられていただろう。ポーランド人は禁じられた果実が好きだし、法律をすり抜けるのが好きだ。
かつてはそもそも国家の公式祝賀以外には国旗を掲げてはいけなかった。なぜならそれには何らかの反体制の匂いがしたからだ。いまはたぶんそういう禁止事項はないが、金曜日にも祝日にもどこにも国旗は見えない。アメリカ人は何かとしょっちゅう自国の国旗を自宅の前庭に掲げ、みずからの愛国主義を恥じない。ポーランド人の中にはあとどれくらいの間、共産主義の負担とトラウマが残り続けるのだろうか?
今日はポーランド大統領官邸で、ひと月前から予告されていた大舞踏会が催される。世界中から多くの要人が出席することになっていた。アメリカ大統領、ロシア大統領、ヨーロッパ各国首脳、その他大勢。現実はいささか違っていた。舞踏会は舞踏会ではなく、単なる宴会だった。その宴会(舞踏会の要素あり)に現れたのは、なかんずくバルト諸国、ウクライナ、グルジア、セルビア、ハンガリー、スロヴァキア、スロヴェニア、アフガニスタン、マケドニアの大統領と、他の数十か国の、より低い地位の代表たちだった。アメリカとロシアについては言及すらされない。
カチョル [カチンスキ大統領] はドイツ首相、アンゲラ・メルケルの約束通りの来訪を自慢したが、実際に彼女が参加するのは無名戦士記念碑前での式典だけだそうだ。カチョルはメルケル女史と踊ることはない。かりにこの我が国のコンプレックスだらけの大統領がレフ・ヴァウェンサ [ワレサ] を招待していたら、きっともっと重要なお客さんたちがやってきて、何もかもが違っていたことだろう。
だが彼はみずからの怨恨を示さなくては気がすまず、無論ヴァウェンサを招待することはなかった。これは俺に言わせれば、重大な誤りであり、スキャンダルである。なにしろヴァウェンサがいなかったら、今日いかなる宴会も舞踏会もありえなかったのだし、彼のおかげで今日、自由なポーランドで、カチョルのような連中が陽気に騒ぐことができるのではないか。
by nagamimi_2
| 2008-11-11 20:00