2009年 08月 09日
ウクライナの挑発 |
3日前にメディアで知ったのだが、ウクライナからポーランドへ「ステパン・バンデラ Stepan Bandera の足跡」という名の自転車レースがやって来るという。これを聞いてショックを覚えた。なにしろ我々ポーランド人にとってバンデラとはならず者で殺人者だからだ。ウクライナ人たちは、ポーランド、チェコ、オーストリアを通って、バンデラの墓があるミュンヘン(1958年にKGBのスパイがこの地で彼を殺した)に至るこのレースを企画している。
ポーランド東部には、彼の名を聞くだけで身を震わせ泣き出す人たちがいまだ存命中である。彼らには身近な人が虐殺された記憶があったり、彼ら自身が虐殺を目撃したりし、幾人かが奇蹟的に助かったのだ。ここに殺し方を記述して読者を驚愕させるようなことはしない。ただそれが銃殺ばかりではなかったと言えば十分だろう。
ステパン・バンデラ(ウクライナ語:Степан Андрійович Бандера)はウクライナ民族主義組織(OUN)と、その武装した片腕であるウクライナ蜂起軍(UPA)のリーダーであった。実のところ彼自身はヴォウィン Wołyń (ウクライナ語ではヴォルィーニ Волинь)の虐殺 [1943年2月から1944年2月にかけて当時のポーランド第二共和国ヴォウィン県においてウクライナ民族主義者がポーランド人を大量虐殺した] には参加しておらず、直接決定をしたわけでもなかった。なぜならそのとき彼はドイツ軍によってザクセンハウゼン Sachsenhausen 強制収容所に収容されていたからである。だが、彼こそがその思想を形作り、OUNとUPAの目標を定めたのだ。したがって彼が道徳的責任を負っているのであり、ポーランド人の目から見れば彼は殺人者なのである。ヒトラーとて個人的に収容所の人々に手を下したわけではない。
他方、ウクライナの学校ではまったく違うことを教えている。ウクライナ人にとってバンデラは国民の英雄である。ウクライナの自由のために戦ったからである。だがどんな方法で彼がそれを目指したのか、それについては学校でも他のところでも語られない。
主催者たちは、例えばこうした挑発的な名を冠したレースの形で、歴史を知らない若者を民族主義の宣伝に利用しているのだ。しかし彼らはポーランドのメディアに厚かましくも、目的は単に健康のためのスポーツ普及なのだと言っている。それならばなぜバンデラを看板に掲げるのか?
一昨日テレビで、このレースをポーランドに入国させないことになったと聞いて満足を覚えた。ポーランド・ビザ取得に不正があったとしてポーランド外務省が異議を唱えたのだ。まず間違いなく、レースの主催者らはその名称と理由を提出しなかったのだろう。けれどもすでに昨日のニュースによると、自転車に乗ったウクライナの若者たちは国境で足止めされたものの、世話人が新しいビザを手配してくれるのを待っているという。もしそのビザを受け取れば彼らは入国できるのだ。だが、ポーランド国境を越えてすぐのところでは、このあからさまな挑発に抗議するポーランド人グループが待ち構えている。
ポーランド東部には、彼の名を聞くだけで身を震わせ泣き出す人たちがいまだ存命中である。彼らには身近な人が虐殺された記憶があったり、彼ら自身が虐殺を目撃したりし、幾人かが奇蹟的に助かったのだ。ここに殺し方を記述して読者を驚愕させるようなことはしない。ただそれが銃殺ばかりではなかったと言えば十分だろう。
ステパン・バンデラ(ウクライナ語:Степан Андрійович Бандера)はウクライナ民族主義組織(OUN)と、その武装した片腕であるウクライナ蜂起軍(UPA)のリーダーであった。実のところ彼自身はヴォウィン Wołyń (ウクライナ語ではヴォルィーニ Волинь)の虐殺 [1943年2月から1944年2月にかけて当時のポーランド第二共和国ヴォウィン県においてウクライナ民族主義者がポーランド人を大量虐殺した] には参加しておらず、直接決定をしたわけでもなかった。なぜならそのとき彼はドイツ軍によってザクセンハウゼン Sachsenhausen 強制収容所に収容されていたからである。だが、彼こそがその思想を形作り、OUNとUPAの目標を定めたのだ。したがって彼が道徳的責任を負っているのであり、ポーランド人の目から見れば彼は殺人者なのである。ヒトラーとて個人的に収容所の人々に手を下したわけではない。
他方、ウクライナの学校ではまったく違うことを教えている。ウクライナ人にとってバンデラは国民の英雄である。ウクライナの自由のために戦ったからである。だがどんな方法で彼がそれを目指したのか、それについては学校でも他のところでも語られない。
主催者たちは、例えばこうした挑発的な名を冠したレースの形で、歴史を知らない若者を民族主義の宣伝に利用しているのだ。しかし彼らはポーランドのメディアに厚かましくも、目的は単に健康のためのスポーツ普及なのだと言っている。それならばなぜバンデラを看板に掲げるのか?
一昨日テレビで、このレースをポーランドに入国させないことになったと聞いて満足を覚えた。ポーランド・ビザ取得に不正があったとしてポーランド外務省が異議を唱えたのだ。まず間違いなく、レースの主催者らはその名称と理由を提出しなかったのだろう。けれどもすでに昨日のニュースによると、自転車に乗ったウクライナの若者たちは国境で足止めされたものの、世話人が新しいビザを手配してくれるのを待っているという。もしそのビザを受け取れば彼らは入国できるのだ。だが、ポーランド国境を越えてすぐのところでは、このあからさまな挑発に抗議するポーランド人グループが待ち構えている。
by nagamimi_2
| 2009-08-09 23:00
| 日々